「へぇ……、面白いじゃん」
ぽつり、と。俺に押し込まれた潤が、そんな言葉を零したのはどれくらいが経った頃か。
つい蜂谷の勇ましさに目を奪われていた俺は、その言葉に漸く我に返ると持っていた鞄を潤に押し付け一歩前に出る。
「あっ、おい、陽っ」
「うるさい、もう行く。これ以上は、あいつ一人にしておけない」
「……へぇ」
背後で意味深に笑った潤に気付きながらも、これ以上見ているだけなんて出来るはずもなくて。
どう見たって理不尽もいいところな女たちに、たった一人で立ち向かう蜂谷のことを――――
「…………先に、蜂谷に暴力奮ったのは、そっちだろうが」
どうしたって、これ以上、一人になんてしておけなかった。