思わず涙を浮かべながらミドリの身体へと腕を廻せば、全力で身体を押し返された。


ううん、相変わらず手厳しいというかツンデレな私の親友。でも、そんなところも大好きだ。



「それで?一体これから、どうするつもり?」



言いながら、チラリ、私の足元へと落とされた視線。


その視線を追えば、先程私の足から転げ落ちたダサい茶色のスリッパに辿り着き、苦笑いを零すしかなくて。


……正直なところ、日下部くんにボディガードを頼んだ以外に具体的な防御策を考えていたわけではない。


だから早速、今日は上履きを隠されてしまったわけだ。


ミドリの言う通り、先程から跡を絶たずに次々と教室の扉の前にやってくる女の子たちは、“あの”日下部くんの彼女になった私を一目見ようとやってきた女の子たち。


そして私を見るなり、「アレが?」「嘘でしょ」「調子乗んな」と、様々な悪口感想を、ご丁寧にも私に聞こえるように言い残していくわけだけど。


実際、皆さんの言うとおりだとも思うし、日下部くんに自分が吊り合っていないことは自分が一番良くわかってる。


その上、本当に付き合っている訳じゃないから、そこまでダメージを受けることはない。