声高々に叫んだ私の悲痛な思いは、孤高の王子様な日下部くんに届くことはない。


だけどそれでも私は、どうにかして明日の自分を守らなければいけないのだ……!


どうにかして、私の残りの高校生活を守らなければ……!



「ミ、ミィちゃんは、我が家で飼います」


「は……はぁ!?」


「ど、どうせ、このまま学校にいても、今みたいに日下部くんを追いかけて、また校舎に迷い込んで来ちゃうかもしれないし。それに、もしそうなった時に生徒じゃなく先生とかに見つかったら、そのまま保健所に引き渡されちゃうかも」


「っ、」


「そんなことになってから後悔しても、遅いんですよ?」



私の言葉に顔を絶望色に染めた日下部くんは、次の瞬間には泣きそうな顔でミィちゃんを見つめた。


保健所……なんていうのはちょっと大袈裟だったかもしれないけど、有り得ない話でもないはずだ。


事実、日下部くんだって何の反論もせずに狼狽えているのを見ると、少なからず学校でミィちゃんを飼い続けることに限界を感じていたんだと思う。


そんなに可愛がっているなら家に連れて帰ればいいのにとも思うけど、世の中そうも言ってられない事情だってあるから仕方ない。