「っ、」
一人、悶々と思考を巡らせていた私の耳に、突然届いたのは甘えるような可愛い声。
それに慌てて顔を上げれば、日下部くんは私以上に驚いた様子でキョロキョロと声の主を探していた。
「にゃあ、にゃあ」
「ミィっ!?」
けれど次の瞬間、悲鳴にも似た声を上げ、声の主―――ミィちゃんを見つけた日下部くんは、ベッドから飛び降りるように駆け出して。
窓の外からこちらを見ていた可愛いその子を慌てて抱き上げ、自分の胸の中に大切そうに収めた。
「お前……っ、なんでこんなとこにいるんだよ!?」
顔面蒼白、と言ってもいいほど狼狽えながら、ミィちゃんを見つめる日下部くんには、いつものクールさの欠片も感じられない。
そして、そんな日下部くんの焦りを知る由もない黒猫ミィちゃんは、やっぱり日下部くんの胸に幸せそうにその顔を擦りつけた。



