✽ ✽



「そ、そんな……それじゃあ―――――それじゃあ私は、もう二度と、水泳はできないんですか!?」



3年前の夏。

紫外線アレルギーと診断された私は、縋るようにそう、お医者さんに尋ねた。


小学生の頃、偶然近所のスイミングスクールに通い始めたら、そこでは元オリンピック選手だったコーチが指導をしていて。


コーチが教えるのが上手だったこともあり、自然と泳ぎが上達していき、それに伴って私自身も泳ぐことが好きになった。


中学に入ってからも、迷うことなく水泳部に入部して、運良くレギュラーも貰えた。


偶然、調子が良かった時に出た大会では、ベストタイムで一位を取ることもできて。


元々色白で、どんなに太陽の下にいようと真っ黒になれず、中途半端な、はちみつ色に焼けた肌。


目の下のそばかすと、ショートカットの黒髪は塩素で傷んでいたけれど、私はその全てを何よりの勲章だと思っていた。