「……それで?やっぱり、お前のこと、こんな風にまたやる気にさせたのは……あの子なわけ?」
「……あの子?」
「ほら……あの子だよ、ミツキちゃん」
「美月……?」
たった今、考えていた美月の名前が水嶋の口から飛び出して、思わずドクリと心臓が高鳴った。
美月?どうして、そんなことがわかったんだ?
「ああ、そういえば水嶋と美月ちゃん、会ったって言ってたねぇ。でも、なんでまた、美月ちゃん?」
「……そ、そうだよ。なんで、お前が美月のことなんて気にして、」
「は?刈谷はともかく、日下部、お前……やっぱり気付いてなかったのかよ。……って、俺もハッキリ気付いたのは、今朝、ミツキちゃんの名前をフルネームで聞いてからだけど」
「美月の、名前……?」
「そうだよ。あの子……ハチヤ、ミツキって。俺さ、妹がいるじゃん?妹も水泳やっててさ、それでミツキって名前とミツキちゃんのこと初めて見た時に、なんかどこかで見たことあるなーと思ってて」