「う……っ、ふ、う……っ」
ねぇ、日下部くん。
やっぱり、日下部くんは、カッコイイね。
大嫌いだと言った、はちみつ色の髪を黒く戻して。
たったそれだけで、日下部くんの決意がわかっちゃったよ。
今、どんな気持ちで日下部くんがあの場所に立っているのか。
どんな気持ちで、空を仰いでいるのか。
考えたら考えただけ涙が止まらなくなって、もうどうしようもなかった。
……水嶋くん。
日下部くんは、また、水泳部に戻ってくるよ。
また、水泳をやるんだよ。
水嶋くんとは違うチームになってしまうけど、それでもきっと、日下部くんは日下部くんを信じてくれたチームメイトの想いを胸に、これからも泳いでいく。
これからも、大好きな水泳を通して、日下部くん自身を取り戻していくはずだから……
だからもう、きっと、大丈夫。
――――本当に。本当に、良かった。
再び風が吹いて、私の長い髪を優しく揺らした。
それがまるで、もう二度と触れることのないだろう日下部くんの優しい手が触れたみたいで……私は余計に、涙が止まらなくなった。



