『……美月っ!美月、アンタちょっと、聞いてる!?』
……ああ、こんなことってあるのかな。
いつも日下部くんが座っている、窓際の、一番前の席。
日下部くんの住処であるソコからは、この学校の片隅にある真っ青に染まったプールが、しっかりと眺めることが出来て。
「っ、」
窓枠に乗せた手が、震える。
耳元に当てた携帯から聞こえるミドリの声よりもハッキリと耳に届く歓声は、大好きな彼の名前を呼ぶ声で溢れていて――――
『陽くんが、水泳に出るって……!!』
「っ、」
その言葉とスタート台の上に立った日下部くんの姿をハッキリと確認した瞬間、私の目からは大粒の涙が溢れた。



