「、」
吐息混じり、呆れ混じりの声が響いて、俺は俯いていた顔を上げた。
すると視線の先には、三日月を背負って立つ美月の姿があって。
高い位置で一つに結われた黒髪がサラサラと風に流れて、俺を真っ直ぐに見つめる柔らかな視線と視線が交差した瞬間、心臓がドクリと大きく高鳴った。
「日下部くんは、全然、自分のことをわかってないよ」
「何、言って……」
「それに、日下部くんは周りのみんなのことも、全然わかってない」
ふわり、と。
一つに結われた髪から逃れた輪郭に触れる髪を耳に掛けながら、美月が笑う。
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