「……日下部くん。水泳、やってたんだね?」
「、」
ぽつり、と。
静かに声を零せば、日下部くんは再び私から目を逸らした。
だけど、その横顔が。
揺れる水面を眺める瞳が泣いているように見えるのは、きっと、私の気のせいなんかじゃない。
だって私はその目を、その気持ちを――――よく、知っているから。
「すごい、綺麗なフォームで見惚れちゃったよ」
「っ、」
「まるで、身体が水と一体化したみたいな……水を掴む感覚を、日下部くんの身体が知っていて。もっと泳ぎたい……って、全身で言ってるみたいだった」
そう言って小さく微笑んだ瞬間、今度こそ日下部くんの顔が泣きそうに歪んだ。



