あ……っ、と。
思わず、口の中で感嘆の声が漏れる。
スッカリと夜に染まったその場所で、三日月を背負ってプールに飛び込んだ日下部くんの入水は、あまりに綺麗で。
プールの縁に立ち一瞬だけ前を見た日下部くんは、そのまま無駄な水飛沫を立てず、まるで水の中に吸い込まれていくように姿を消した。
そんな彼を、私は瞬きも忘れて追い掛ける。
力強く美しいストローク、水を掴む手のひら、水面ギリギリをキックする脚。
「……っ、ミィっ、大丈夫かっ!?」
「にゃあ、」
そうして、あっという間にクロールでミィちゃんのところまで泳いでいった日下部くんは、プカプカと揺れるビート板の上で彼を見ていたミィちゃんに手を伸ばし、濡れた手でその身体を優しく撫でた。
「……よかった、お前、こんなとこで何してんだよ」
「にゃあ、にゃあ!」
水に濡れている日下部くんのせいで自分まで濡れてしまって、ぷるぷると水滴を払うように身体を揺らしたミィちゃんだけど。
再び日下部くんの手に擦り寄ると、返事を返すように喉を鳴らした。



