「……それじゃあ、俺も帰るから」
ぼんやりとそんな事を考えながら掃除用具入れにホウキをしまっていると、後ろから声を掛けられた。
「あ……う、うん。お疲れ様、明日は頑張ろうね!」
「……、」
慌てて振り向いて返事を返したけれど、それに対する言葉は返っては来なくて、思わずズキン、と胸が痛んだ。
そうして、そのまま何を言うわけでもなく教室を後にする日下部くん。
その背中を視線だけで追い掛けたけれど、あっという間に見えなくなってしまって、寂しさと虚しさだけが胸に残った。
……白坂さんの言う通り、今ならまだ、引き返せるのかな。
でも、引き返したとして、そこに何があるの?
だって元々、私たちにはお互いを思う「好き」という感情はないのに。
ただ……今は一方的に、私が日下部くんを好きなだけ。
だから、もしも私が一歩踏み出したところで、日下部くんにとったら迷惑にしかならないんだ。



