白坂さんの姿が校舎の中に消えていき、私たちも校舎の方へと戻ろうと日下部くんが踵(きびす)を返したところで――――突然、明るい声が響いて。
私たちは弾けるように、声がした方へと振り向いた。
と。
そこにいたのは、他校の制服を着た男の子数名で。
たった今、日下部くんの名前を呼んだらしい彼だけが、日下部くんを見て目を輝かせていた。
「やっぱり!日下部!久しぶりだな!!」
「……水嶋、」
ミズシマ?
「なんだよ!お前、この高校だったんだ!っていうか、お前、また水泳やってんの!?もしかして、ここの水泳部!?」
「――――、」
一瞬、彼が何を言っているのか、わからなかった。
というか、話す相手を間違えているんじゃないか、人違いでもしているんじゃないかと、そんなことさえ思ったのだけれど。