「……っていうか、花火、いつの間にか終わってるし」



灰色に染まった夜空が、隠した星をいつの間にか取り戻した頃。


まるで独り事のようにそう零した日下部くんは、呆れたように空を仰いだ。


そんな日下部くんの隣に立ったまま、私もゆっくりと空を見上げる。


―――と。

未だに繋がれたままの手に意図せず気が付いてしまって、途端に恥ずかしさと居たたまれなさが押し寄せてきた。


手……手がっ!!い、いつの間にか、恋人繋ぎになってるんですけど……!!



「あ、あ、あの……く、日下部、くん?」


「……なんだよ」


「え、……と。手……手が、」


「……は?」


「その……手が、」


「手?手が、なんだよ」



嘘でしょう!?

思わず口籠る私に、怪訝そうな視線を送ってきた日下部くんは繋がれた手に気付いていないのか。


何言ってんだ、コイツ。なんて今にも言い出しそうだから、私一人が恥ずかさで倒れそう。