混乱を通り越し、呆然とするしか出来ない私の前に立って、心底申し訳無さそうに眉尻を下げたのは高橋くんだった。
数回瞬きを繰り返してから、改めて、目の前に立つ高橋くんを見つめる。
「蜂谷さんと日下部が付き合ってるっていうのは、噂で聞いて知ってたんだけど……でも、どうしても最後にもう一度だけ、気持ちを伝えるチャンスが欲しくて」
「え、え……と……?」
「……だから、俺から愛美ちゃんに頼んで、なんとか蜂谷さんと花火大会に行けるようにしてもらえないか……って。ほら、最近、愛美ちゃんと蜂谷さん、仲良さ気だったし」
「あ……うん……」
「こんなこと、こんなところで言われても蜂谷さんには迷惑かと思うんだけど。……俺、前から蜂谷さんのこと、好きだったんだ。スポーツ祭実行委員になったのも、蜂谷さんが実行委員になったって聞いたからで……」
「っ、」
「あ!で、でも……っ。だからといって、実行委員の仕事は真面目にやるつもりで!そ、それに、蜂谷さんには日下部がいるわけだし、俺も流石に日下部に勝てると思うほど自惚れてもいないし……」
「そ、そんなこと……」
「え、えと……つまり、何が言いたかったかって言うと……ホント、日下部には申し訳ないんだけど……。この、花火大会だけ。花火だけ……俺と一緒に、見てくれませんか……?」
「……、」
「これを最後の……思い出に、したいんだ」



