「…………蜂谷 美月(はちや みつき)、」
「く、日下部 陽(くさかべ よう)っ!?」
お互いの名前を口にしたのは、ほぼ同時。
私は驚き過ぎて声が裏返ってしまったけれど、目の前にいる日下部くんは、顔色を悪くして呆然と私の方を見ていた。
「っ、」
嘘、待って、嘘でしょ、え、嘘だよね、嘘って言って。
心の中で何度も嘘嘘呪文を唱えてみたけれど、どう考えたって先程の声の主と日下部くんが同一人物であることは間違いなくて。
言われてみれば、さっきの声は日下部くんのものだった……ような気がする、夢じゃなければ。
艶(つや)のある、色気たっぷりな声を今更ながらに思い出したら、どうして気付かなかったんだと数分前の自分を殴りたくなった。



