言いながら、ヒョイ、と奪われた筆。
追い掛けるようにその先を辿れば――――私を見て、優しく微笑む日下部くんがいた。
「気にしなくていいから。あんま、無理すんな」
「っ、」
その笑顔と声を聞いた瞬間、今までとは比べ物にならないくらいに早鐘を打つように高鳴りだした私の心臓。
本当に……さっきから、どうしちゃったんだろう。
日下部くんはいつも通りの日下部くんなのに、そばにいるだけで息の仕方を忘れたように苦しくて。
日下部くんを見ているだけで……今まで感じたこともないくらいに、心臓がうるさい。
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