「……もう、帰ったかと思って焦った。どうせなら……外も暗くなってきたし、途中まで一緒に帰るぞ?」


「え!?い、いいよ!大丈夫だよ……!」


「ばーか。一人で帰らせて、もしまた何かあったらどうするんだよ。お前、ほっとくとすぐ面倒事に巻き込まれるし。守るって約束した以上、最後まで守らせろ」


「……っ、」


「……ほら、行くぞ」



言いながら、柔らかに緩められた口元。


その表情と日下部くんの言葉に胸が早鐘を打つように高鳴って、顔は必然的に熱を持った。


けれど、そんな私の心情を知る由もなく、前を歩き出した日下部くんとの距離は……相変わらず。


それでもやっぱりなんとなく――――ほんの少し、日下部くんに近付けた気がするのは、私の気のせいじゃない、よね?



「…………愛美にとっては、完全に疫病神じゃん」


「へ?」


「……じゃあね、蜂谷さん。私も、帰るね?」