「……それ、やるよ」


「カ、カルピス……?」



綺麗な放物線を描いて、私の手の中へと飛び込んできたのは、学校の自販機で売っている、細長い紙パックのカルピスで。


思わず、それと日下部くんを交互に見れば、次の瞬間には目を逸らされてしまった。



「……体調悪いなら、あんま、無理すんなよ」


「え?」


「っ、」


「日下部くん?」


「べ、別にっ。心配してるわけじゃないけど……っ。……また倒れたりしたら運ぶの面倒だからなっ」


「、」



そう言って、何故か舌打ちを零した日下部くん。


そして、それ以上は何を言うでもなく、踵を返して歩いて行ってしまった日下部くんの横顔が……


やっぱり、ほんの少しだけ赤く染まっていた気がするのは、多分、夕日のせいではない気がする。