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「〜~~……重いっ、」



――――3時限目の授業中。

3つ重ねられた真っ赤なカラーコーンを抱えながら、体育館裏の用具入れを目指している私は、思わず立ち止まり、額に滲む汗を拭った。


この季節、長袖の体操服は暑すぎて、今すぐにでも脱ぎ捨てたい衝動に駆られる。


今日は、海開きならぬプール開きだ。


体育の授業中、この季節にはやっぱり不似合いな長袖の体操服を着ているのは私一人で。


ついでにプールではお決まりの見学モードな私は、先生からカラーコーンの片付けを頼まれた。


別に、今年もクラスメイトが泳いでいる様子をぼんやりと眺めているだけだったし、断る理由もなく引き受けたわけだけど。


プールから用具入れまでの道程、遠廻りになりながら日陰を探して移動してきたせいで、カラーコーンの地味な重さと梅雨特有の暑さに目が廻りそうだった。