「……刈谷くん。男子は今日は水泳じゃなくて柔道でしょ?」


「えぇー、嘘だ!俺らもプール行きたいっ、俺も美月ちゃんとミドリちゃんと一緒に泳ぎたいっ」


「いや……私は水泳の授業は見学だし……」


「っていうか、そもそも男子は一緒には泳げないでしょ。同じプール内でも授業自体は端と端で別々だし」



苦笑いを浮かべながら私とミドリがそう言うと、肩を落として項垂れた刈谷くんには耳と尻尾が見える気がした。


刈谷くんは、なんていうか仕草とか雰囲気とかが一々愛くるしくて小型犬みたいだ。


パピヨンとか、ポメラニアンとか?


そんな小型犬な刈谷くんは、あの一件以来、こうして何かにつけ私とミドリに話し掛けてくるようになった。