姫と王国と7つの大罪人

「聞こえてる?ねぇ?」

男は大雑把に少女の身体を起こした。

チリッ…と少女の耳についていた桜の模様が描かれた水晶の付いたピアスが音を立てた。

それを見た男の顔色が変わる。

「まさ…か…」

男は少女を抱え上げ、男が来たと思われる方向…少女が向かっていた方向へ走りだした。

「頼む、間に合ってくれ」

男のそんなつぶやきは、風によって鳴る葉の音でかき消された。