「それに…ヴィルがそう言うのだって何か理由があるんじゃないか?」
「理由?」
カインさんは、少し苦しそうな顔をしながら話しだしました。
「俺さ、この村に来る前の村で、母さんと妹を殺されたんだ」
「え…?」
「俺がいた村では、村が決めた者同士が結婚して子供を生むのが決まりだったんだ。
父さんは俺が生まれてすぐに死んじまった。
妹は生まれるべきではない子供だったんだよ。
だから…村の人達は妹を忌み子だと言って、まだお腹の中にいる俺の妹と妹を身ごもってるい母さんを殺した。
俺の目の前でな…」
「そんな…」
酷い…。
「村の人達は俺も殺そうとした。
俺は、村の人達に見つからないようにそこから何も持たずに逃げてきたんだ。
でも、知り合いなんて誰もいないし、家族もいない…。生きてる意味なんてないと思った。」



