こ、これは!!
運命の出会い?
きゃー!!
あたしはルンルン気分で
まだ誰もいない教室に入って、ベランダに出るとグラウンドで野球部が朝練を始めようとしていた。
一樹が投げていた。
あ、一樹。
あいつ、あんなに背大きかったっけ?
幸希くんより少し小さいくらいだと思うから180くらい?
いつからあんなに体つきもよくなった?
筋肉でしまってて、練習着で朝練する姿はかっこよくて。
「ふーん。案外あいつもかっこいいじゃん?」
それから、放課後の掃除でじゃんけんで負けてゴミを捨てにごみ捨て場に向かって裏口に着いたとき、誰かの声が聞こえた。
「あのね、」
だれかいる?これはもしや、もしやのもしや?
告白場面?
うっひょー!
見たい気もするけどなあ。
でも、行かなきゃだし。
これは覗き見じゃない。うん。
木に隠れて声のする方を覗いてみると、
え?
一樹じゃん。
相手は…
隣のクラスの莉子ちゃんだ。
美少女で有名なんだよね。
背も小さくて、目もクリクリだしあーゆー子がモテるんだろうなって感じ?
一樹、あんな子に告白されるなんて。
一樹のどこがいんだかさっぱり。
「あのね、あたし…好きなの。一樹くんのことが」
言ったー!!
やばいやばいやばい。
あたしの方が緊張だよ〜
一樹はどうすんだ?
一樹は莉子ちゃんに申し訳なさそうな顔をして
「あー…俺さ、好きなやついんだよ」
え?
あいつ、好きな女の子いんの?
あたしに嘘ついてたの?
なんて奴だよ、馬鹿野郎。
「それって、瑠衣ちゃん?」
おいおい、莉子ちゃん、それはないよ?
その時、後ろから大声が聞こえた。
「瑠衣ー!!」
うっわ。最悪。
後ろから、美優がダッシュで走ってきた。
それと同時に一樹と莉子ちゃんにもあたしの存在がバッチリ見られたわけで。
美優以外のその場にいる全員が気まずい空気が流れた。
「瑠衣なにしてんの〜?」
「ちょっ、バカ!」
「おい」
この声、怒ってる時に出る声じゃん。
すんごい低い声があたしに向けられた。
恐る恐る振り返ると、眉間にしわ寄せた一樹があたしの真上にいた。
「お前なにしてんだよ」
「べ、別に覗いてたわけじゃないから!ゴミ捨てたかったのにここでそもそもコソコソしてんのが悪くない?」
一樹に負けじと言い返した。
「いや、お前さあ、いんなら言えよ」
「言えるわけなくない?バカなんじゃないの?」
「お前よりバカじゃねーよ」
あたしと一樹が言い合いをしてた時、
「あのさ〜…なにしてんのあんたら。莉子ちゃん、どうすりゃいいかわかんないじゃん」
「「あ」」
「わりい」
「あ、ううんもういいの。わかった気がするから」
そう言ってあたしに笑いかけた莉子ちゃん。
「わりいな。さんきゅな。」
「あたしこと、聞いてくれてありがとう」
「おう」
莉子ちゃんはそれだけ言って、帰って行った。

