幼なじみの球児はあたしの天敵。




次の朝のあたしは…

憂鬱。



なぜかというと、彼氏作るってどうやってするわけ?

作ったことないんだよ?



「あーっ!!」


いてもたってもいられなくて、いつもよりすごく早く起きて、家を出た。

電車に乗ると、あの人がいた。


「あれ?」

いつも見る、他校の野球部。

今日は早いんだ…

その人の定位置にはすでに座られていて


いつもの定位置にあたしも座ろうとしたらおばあさんが立ってたから

「おばあちゃん、座って!」

「いいのかい?お嬢ちゃんも座りたいだろう?」

「いいに決まってんじゃん!!あたしはほら、ピチピチの18だから足腰強いんじゃ!!」

あたしは、おばあちゃんを座らせて、マッチョポーズをしてみせた。

「ありがとうねえ」

「いいんだよいいんだよ。おばあちゃんには元気でいてほしいしね」

そんなおばあちゃんとの会話を頼んでると、後ろから微かな笑い声が聞こえた。

「くっくっ…」

「え?」

後ろを振り返ると、あの野球部が口を押さえて笑ってた。


「え?あたしのこと笑ってんの?」

「ごめ、くっくっごめん」

「なにが、面白かった?え?なんかした?」

「いやだって、早朝にそんな元気にしかもマッチョポーズを金髪のギャルが電車でおばあちゃんに席譲るとか笑えてきてさ」

「失礼な!あたし、ギャルだけど心は優しいんだから見た目で判断しないでよね、全く。」

「わりいわりい俺、あんたのこと知ってんだよね」

「あたしも知ってるよ?いつも電車同じじゃん、あんたいつもぐーすか寝てんじゃん」

「よく見てんな(笑)俺もあんたのこと気づいてたよいっつも金髪ギャルが俺の前に座ってんなーって」

「あたし、金髪だし、ギャルだけどヤンキーじゃないしグれてないから。そこんとこよろしく」

「うん、さっきの行動見たらそう思った。名前は?俺、高山幸希 桜ヶ丘学園の3年。」

「あたし、木村瑠衣。南西高校の3年」

「よろしくね、瑠衣ちゃん」

「よろよろ〜。てか、桜ヶ丘学園って野球めっちゃ強いっしょ」

「あ、知ってる?」

「うん、知ってる甲子園の回数ハンパないじゃん」

「おお、知ってんな。」

「だって、あたしのパパあたしの高校の監督だし、幼なじみも野球部だから」

「そうなんだ。南西高校今年評判いいからライバルだね」

そう言って、にっこり笑う幸希は可愛かった。


てか…

「でかくね?」

「ん?俺?」

「いや、それしかいないっしょ」

「俺一応185あるから。瑠衣ちゃんは小さいでしょ」

「うるさい!あたしだって160じゃ!」

「小さいじゃん(笑)」

「なにを〜?あ「まもなく〜南西高校前〜閉まるドアにご注意ください」」


「じゃあ、あたし降りるわ!!じゃーなー!」

「バイバイ瑠衣ちゃん」