「きゃー!!もう最高!!」


いま、家のリビングですごく騒いでいるのは、ママ。




バイトを終えて帰って、お風呂の後、家族4人で、夜ご飯を食べているときに
パパがママに担任になったことと、一樹と同じクラスのこと、美優も同じなことを全部はなしたあとの第一声だ。



「えー、なにそれなにそれ、んもう最高じゃない!毎日楽しそうねえ〜」

ママはパパに興奮状態で話してて


「そうなんだよ、パパもびっくりしたんだよ。さすがに親子で担任と生徒はね」

「そうよ〜、どうして?」

「校長が、親を担任にすれば少しは真面目になるだろうって」

「なにそれ〜。瑠衣は真面目よ〜?成績いいし〜!」

「そうだよなあ!俺は、瑠衣を誇りに思ってるぞ!」

「はあ〜…本当にびっくりしたんだから」

「パパもびっくりだ!!わはははは」

「お姉ちゃんいいなあ!パパが担任とかめっちゃいいじゃん!面談とか緊張しなくていいし」


「いや、そうだけどさあ…」

「あ、わかったお姉ちゃん、かずにいと同じなのが嫌なんでしょ!!」

「いいじゃなーい!仲良しさんで!」


「はいはい」

あたし以外すごく盛り上がってたから、ご飯をすぐ食べ終えて、あたしたちの家に行った。



ドアを開けると、一樹と和也がいて、一樹はベッドに寝そべって雑誌を見ていて、和也は勉強していた。



「よう、ブス」

「うるさいなあ」

「瑠衣ねえ、なんか不機嫌?(笑)」

「そんなことないよ、ごめん、勉強中なら帰るね」

「いいよ、俺もう終わるし、それに風呂入りに戻るからさ」

「そっか」

「じゃあ、また明日ね」

「おや〜」


和也が出て行くと、一樹と二人っきりになってあたしは自分の机に座って、大学資料を見てた。


ふたりの間には会話はない。


沈黙を破ったのは一樹だった。

「なあ」


「ん?」

あたしは一樹の方を向かずに返事をした。


「お前さあ、すっぴんの方がいいよ」

「は?」

あたしは、振り向くと、雑誌を読んだままで。


「だから、濃いメイクしてるよりもいまのすっぴんの方がいいっつってんの」

「バカにしてんの?(笑)」

「さあな」

「なんなのよもう」

「お前さー、スキなやついんの?」

「いないよ」

「だろうな。お前と付き合うとか、やべーやつだよな(笑)」

「あたし、一樹みたいな人はぜったいムリ!もっと優しくて、紳士な人がいいもん」

「は?俺、紳士だし。」

「どこが?」

「俺、告られるし」

「知ってる。みんな頭おかしいのかと思う」

「付き合わねーけど」

「なんで?」

「俺、野球しか興味ねーもん」

「まあ、そっか。一樹らしいや」

「お前は、なんで彼氏つくんねーの?」


「うーん。あたしさあ、運命信じてんだよね」

「はあ?バカなんじゃねーの?(笑)」


「バカってなによ!女なんだから運命くらい信じてもいいじゃない」