あたし、木村瑠衣。


ただいま、屋上にいます。

なぜかって?

それは、朝、学校にくると昼休み屋上に来てという隣のクラスの佐々木くんに呼び出されたからだ。

佐々木くんは、イケメンで、よく優しいって噂で聞く。


そんな人からの呼び出し。

美優は興奮してたけど、あたしはなんで呼び出されたのかしか思わなかった。


「瑠衣ちゃん」

後ろから声をかけられて振り向くと爽やかな佐々木くんが近づいてきた。


「遅れてごめん」

「ううん、平気。で、どうしたの?」

「いや、その、前から瑠衣ちゃんのことは知ってて、元気な子だなって思ってて、でも好きになったんだ瑠衣ちゃんのこと」

「え?」

「付き合ってくれない?」

「いや、その。ごめん、あたし好きな人いるの」

「相川?」

「え?」

「いや、よく2人の噂聞くからさ。幼なじみで仲良いって」

「いや、一樹は関係ないんだけど…」

「でも相手は瑠衣ちゃんのこと大好きだよね」

「そ、そんなことないよ」

「まあ、いいや。ごめん時間取らせて。」


「ううん、こちらこそ」

佐々木くんとは分かれて、教室に戻るとすぐに美優が寄ってきた。


「なんだったの〜?」

「好きって言われた」

「やっぱ〜?で、どうしたの?」

「断ったよ」

「えー、佐々木めっちゃかっこいいのに」

「まあ、あたしは興味ないよ」

「ふーん?あ!そういえはさっき1年の女の子に一樹も呼び出しくらってたよ」

「え?そうなの?」

「うん、あれは告白だなあ」

「まじかあ…」

「で、あんたたちはなにがあったのかな?」

「え?」

美優があたしの顔を見ながらニヤニヤしている。


「な、なにも?」

「言い逃れできると思ってんの〜?
朝から2人ともお互いの顔見て顔真っ赤じゃん」

「はあー…」

それから昨日あったことを美優に話すと目をキラキラさせた。

「よかったじゃーん!!やっとくっついたのかあ!美優嬉しすぎ!これで一樹のゲイ疑惑も晴れるわね」

「ゲイ?」

「そうそう、いくら可愛い女の子が告白してもなびかないからゲイなんじゃないかって言われてんのよ」

「そ、そうなんだ」

「いやー、よかったよかった!これで一樹にもようやく彼女が…」


ん?

「待って、彼女じゃないよ?」

「え、なんでよ」

「付き合ってって言われてない」

「あ、確かに」

「うん」

「じゃあ、いいこと考えた!いま呼び出されてるから告白現場いこ」

「え、なんでよ」

「どういう答えすんのか気になるじゃん!!」


そう言うと美優はあたしの答えを聞かずあたしの手を握って裏庭にいるらしい2人のもとへ向かった。



花壇に隠れると、2人の姿が見えた。

「あ!いたいた!」

「う、うん」

それにしても距離が近い。
これじゃ2人の声が丸聞こえだ。


「私、相川先輩のこと好きなんです」

「あー…ありがとう」

「付き合ってもらえませんか?」

言ったー!!

1年の女の子は恥ずかしそうに言った。


「ごめん。」

「え?」

「俺、付き合ってるやついるんだ」

「え、いるんですか?」

「うん。俺、そいつしか好きになったことねえんだ。多分これからも。だからごめん。」


「木村瑠衣さん、ですか?」

「うん。」

一樹の言葉を聞いてあたしは最低だと思った。

1年の女の子が振られて、あたしへの言葉を聞いて嬉しいと思ってしまった。