幼なじみの球児はあたしの天敵。

瑠衣side


あたしがしたこと。

それは髪色をもどして、メイクもナチュラルにした。

なんでかって?

大学へ行って保健室の先生になること。

それを目指すのは中途半端じゃいやだし。

真面目になってやろうと思った。


それで学校へ来たらなぜか驚いたようにみんな見る。


もう、なによ。ブサイクとか思われてんだろーな。


美優も渡辺くんもびっくりしてたけど、一樹が1番びっくりしてた。


「ねえねえ、なんでイメチェンしたの〜?」

「進路考えて、決めたからもうそろそろ真面目にならないとなあって」

「すごーい!!てか、可愛すぎなんだけど」

「はあ?美優の方が可愛いって」

「あたしも、黒髪にしようかなあ」

「おい。」

前の席の一樹があたしの方を向いて、声をかけてきた。

「なに?」

「今の話し本当かよ」

「え?う、うんまあ。」

「どこ大だよ」

「いや、まだそこまで決めてなくて今日図書室に寄ってしらべようかなって」

「じゃあ、今日一緒に帰ろうぜ」

「え?」

「図書室で待ってろよ」

それだけ言うと、前を向いて寝始めた。


「ねえ、一樹どうしたんだろうね?」

美優は妙にニヤニヤしながらあたしに話しかけた。

「知らない。どうせお金ないから帰りに連れてかれてお金出させるんだよきっと」

「ふーん?」

「な、なに?」

「こーんなに可愛くなった瑠衣を独り占めしたいんじゃないかなあと思って」

「ち、違うよ。あたしたち幼なじみだし。」

「ふーん?」



美優は疑いの目をしてたけど、本当に幼なじみだ。

そのまま放課後になり、図書室で志望校を決めようと調べてたとき、隣に気配を感じた。


「一樹。」


練習終わりの一樹が、隣に座ってきた。

「よお。遅くなってわりい。」

「ううん。いま、調べてたから」

「決めたか?」

「うーん。相模大学ならあたしでも行けるかなって。」

「そこならお前勉強しなくてもいまの成績で行けんだろ。」

「えー。わかんないよ」

「お前さ、」

「ん?」

一樹は急に気まずそうな顔をした。

「東光大学行く気ねえか?」

「え?」

「東光大学なら、保健学部もあるし。」

「いや、なんで東光大?」


東光大学はあたしでも知ってる。


野球がすごく有名で、そこからプロ行く人もたくさんいる。

保健学部もあるけど、あそこは確かあたしたちの地元からは他県だ。


「いや、それは」

「うん」

「俺、東光大行こうと思ってんだよ。そこの監督から国体のときから誘われてる。それでお前も一緒に行かねーかなって。」

「え?」

「ほら、お前俺がいねーと無理だろ?だから、俺と一緒のとこ行くしかねーだろ?」

「はあ?なに言ってんの?あたし、一樹いなくても大丈夫だし」

「いや、そうじゃなくてさ。俺が、お前と行きてーんだよ」

「あたし、寮生活とか無理だよ」

「野球部員は寮生活になる。しかも他の寮生と違うところになる。だからお前、マネージャーやれ。」

「いや、無理無理。」

「そうすれば同じ、ところの寮生活だからなんかあれば俺がいるし。お前、スコアも書けるし、大丈夫だ」

「ふざけて言ってんの?」

「大真面目だバカやろう」

「え、いや、ママとパパに聞かなくちゃだし、まず東光大学頭いいし、あたし行けるかわかんないよ」

「勉強は俺が教えてやる。宗一さんにはもう俺から話した。許可をもらってるし、心配すんな。だから俺についてこい」






「ど、とうしよう」

「えー、いいじゃんついて行きなよ」

「だ、だって、おかしくない?どういう経緯でこうなるわけ?」

あたしは、あのあと返事はまだいいからと言われて久しぶりに2人で帰っていま美優に電話している。


「でも、告白されたわけじゃないんだから幼なじみとして一緒について行きなよ」

「そ、そうだよね。好きなわけじゃないんだよね。」

「ま、きちんと考えたら?」

「うん…」

「じゃあ、また明日ね?」

「うん、ごめん、ありがと」

電話を切ってから、あたしは無心で勉強した。


勉強して、3時間が経った頃、ふとあたしたちの家を見ると電気が付いていて。

「一樹いるのかな」

ん?

あたし今、なんて言った?

一樹に会いたいと思った?

自分おかしくなったのかな。


自分の言葉と心とは逆に体は動くもので。

無意識で、あたしたちの家に行った。



でも、ドアの前まで来たはいいけど今更どうすればいいかわからずとりあえずノックしてみた。


コンコン

「はい」

あ、一樹だ。


のそのそと覗いてみると一樹がベッドの上で携帯をいじってて顔だけあたしの方を向いていた。

「どうしたんだよノックなんかして(笑)」

「い、いや、ほ、ほら!一樹のことだからエッチな本とか読んでるんじゃないかと思って」

「は?お前、バカかよ。ここじゃ読まねーよ(笑)」

「な、なによそれ。ここじゃって自分の部屋では読んでるわけ?」

「そりゃ男だもん、エロ本くらい読むだろ」

「一樹の変態!!やっぱ帰る」

あたしは体をドアの方に向けると腕を強く引っ張られて、その瞬間あたしの体は引っ張られた衝撃で一樹がいるベッドの上に落ちた。


「な、なによ」

いまの体制。

そう、ものすごく恥ずかしい。

一樹はあたしの後ろにいて、一樹の足の間にあたしはいる。

腕はまだ握られたままで。


なんなんだこれは。

「まだ、ここにいろよ」

一樹はそのままの体制であたしに話しかける。

「最近、一樹おかしいよ?」

「なにがだよ」

「あたしもおかしい」

「なにが?」

「なんか、すごく心臓が苦しい」

「心臓病なんじゃね?」

「そうかも」

「それから?なにがおかしい?」

「一樹を見ると、心臓がドキドキする」

「それ、原因俺わかるわ」

「どうして?」

あたしが聞くと、その瞬間一樹はあたしを後ろから抱きしめた。

「一樹?どうしたの?」

「いま、苦しい?」

「苦しい」

「はは(笑)」

「なに、笑ってんの」

「お前、それ恋だよ」

「は?」

「だーかーらーお前、俺に恋してんの」

抱きしめられたまま言われたあたしは固まった。

「だろ?」

耳元で囁く一樹の声にドキドキして、抱きしめられてる腕や、髪に一樹の顔がくっついていることがとても恥ずかしいのに嬉しくて。


本当は前から気づいてた。

気づかないフリをしてた。

ただの幼なじみだって。

いまの関係が壊れるのがいやでいやでそれなら今のままでいいと。


「なあ、」

「な、なに」

「俺のこと、好き?」

「…」

「答えてくれないの?」

耳元で囁くから。

「ずるい」

「え?」

「一樹はずるいよ」

「なにがだよ(笑)」

「あたしの気持ちばっか聞いてくる」

「聞きてーんだもん」

あたしは一樹の腕を払って、あたしの体を一樹の方に向けた。

顔を見るのが恥ずかしくて。

そのまま、一樹の肩に頭を乗せた。


「あたし、一樹のこと昔から隣にいてただの変態野球バカかと思ってた」


あたしが話すと一樹は、自分の手をあたしの頭に乗せた。

「うん」

「でも、最近一樹が目の前にいると苦しくて。野球姿がかっこいいとか思えてきて。あたし頭おかしくなったのかなとか思って。」

「うん」

「でも、気づいちゃった」

「うん」

「あたし、す「好きだよ」」

「え?」

あたしはびっくりして、顔を上げて一樹の顔を見た。

一樹はいたって普通な表情で、さすがポーカーフェイスだなって思った。

「好きだよ。産まれた時からずっと」