一樹side


俺には、生まれた時からの幼なじみがいる。



そいつはガサツで、化粧もケバいし、金髪だし、言葉遣いも荒いし、女っぽさは皆無に近い。


でも、すっぴんが可愛いこととか、寝顔が可愛いこととか、金髪だけど、黒髪があいつは1番似合うことを知ってるのは俺だけ。

気が最高に強いのに体は折れそうなくらい華奢で、泣き虫で、寂しがりや。

友だちとか家族とかがいじめられたりバカにされたりしたら自分よりどうしたって勝てない相手でも立ち向かってく。
そういうやつなんだ。



俺はそいつに、18年間片想いをしてる。


木村瑠衣。

いつ好きになったかなんて、そんなん知らね。

俺でも不思議だ。

でも、隣にいるのが当たり前で、あいつは俺にとっては最初で最後の女なんだ。


俺は不器用だから、素直にあいつに優しくできないし、あいつ次第で俺の気分は変わる。


前田に告られたとき、あいつに聞かれてて、あいつはなんとも思わなかった。

そんなのわかってる。あいつが俺のことを男としてみてないことなんて。

でも、苦しかった。いやだったんだ。どうしても。

ヤキモチを妬いて欲しかったのかもしれない。

それなのにあいつは平気で
”彼女作らないの?”
なんて言うから、怒ったんだ。



瑠衣が、欲しくてたまらなくて、ふたりきりの子供部屋なんて俺にとっては最高に触れたくて手を伸ばしそうになる衝動を抑える戦いをしている。


俺も野球部で真面目に見えるかもしれねーけど、ただの18の男だ。

好きな女を前にして、触れたいと思う気持ちは当たり前だ。



それなのに今あいつは、目の前の高山と楽しそうな笑顔で話してる。


ふざけんな。
俺は18年間も想ってきたんだぞ?