一樹と喧嘩してから1週間。
あたしたちにしては珍しく、まだ口を聞いてなかった。
席が前後なのに、一樹は、プリントを配るときはわざわざあたしの隣にいる美優を使って渡してくる。
真美さんがお弁当を忘れるときはいつもならあたしの役目なのに、いつの間にかこの1週間は夢になってる。
おかしくない?
そんな?
一樹の考えてることがぜんぜんわからない。
お昼前の授業はとてつもなく面倒くさい。
あたしが外をぼんやり眺めてると携帯が鳴った。
ブーッブーッブーッ
あ、LINEだ。
『俺!幸希!届いてるかな〜?』
え、なんで?
なんで幸希からLINE?
『わかるけど、なんでLINE?』
あたしが送るとすぐ既読がついた。
『ほら、金塚覚えてるだろ?瑠衣ちゃんと同じ中学だった。そいつに教えてもらった』
なーんだ。そういうことか。
『おっけー牧場』
『いきなりなんだけどさー、放課後デートしない?』
「デート!!?」
あたしは幸希からのLINEでびっくりして、思わず叫んでしまった。
すると、先生もクラスメイトも一樹以外は全員あたしを見てた。
「こーら、木村ー!そんなにデートしたいのか〜?」
先生がそんなこと言うからクラスメイトはほとんど爆笑して、あたしは笑い者になった。
「瑠衣、デートしたいの〜?(笑)」
隣にいる美優が真顔でそんなこと言ってくるから
「違うよ、誘われたの!!」
「瑠衣にもようやく春が来たの?美優、嬉しーい」
「違う、違う。」
「で、誰に誘われたの〜?」
「あー、なんか、電車でいつも見かけてた人で、話す機会がこの間あって、そこから仲良くなってって感じ?」
「名前は〜?」