「だらかそれまで、たくさん遊んでおきなさい?卒業したら忙しくて遊ぶ暇なんて無くなるわよ」


「えっと?迎えに来るとは一体、どういう事だ?」



俺がそう問うと、女はそっと俺を抱きしめてきた。


途端、橋でかいだ女の香りに、また包まれる。




俺は…、


この匂いに弱いらしい---




この香りを嗅いだ俺の脳内は麻痺したように停止し、ずっとこの匂いに包まれていたくなった。




俺を惑わせるこの香り---


この香りを嗅ぎながらお願いをされると、何でも言う事を聞いてしまいそうだなと自嘲気味に笑う。




「会ったばかりなのに貴方の事、凄く気に入ったの。貴方が卒業をしたら私の傍にずっと居なさい。それは公私共に…、という事よ」




俺はこのお姉さんの香りに惑わされるかのように、頷いてしまった。


この香りは俺にとって媚薬であり、俺を捕らえる為のフェロモンなのかもしれない。