「分かった。………でも多分、今までのようには付き合えない。それと付き合うのは、別れる心の準備が出来るまででいいか?」



俺の問いにうんと頷きながら、嬉しそうに俺の胸に顔を寄せる早紀ちゃんに本当にこれで良かったのか?と疑問に思った。



でも、鈴に手を出されるくらいならしょうがない。



それよりこの状態に、俺はどうすればいいんだ?


ここで、早紀ちゃんを抱きしめ返した方がいいのだろうか?




悩む---




「…翔ちゃんっ」


やはり取りあえずでも付き合っているのだから、抱きしめ返した方がいいのかもな…と思い、早紀ちゃんを抱き締めてみた。



それが早紀ちゃんには、物凄く嬉しかったのだろう。


凄い力で俺をギュッと、抱きしめ返してきた。



そんな早紀ちゃんは可愛いけれど、やはり以前の様な気持ちが沸かない。


早紀ちゃんに悟られないくらいの、小さなため息を一つはいた。




早紀ちゃんを抱きしめながら空を見れば、どんよりとした曇り空で今にも雨が降り出しそうだ。




まるで俺の気持ちのようだな。


自嘲気味に笑みが零れた---