いつもの様に手首を切っていた。


シャッ


シャッ


もう忘れられない痛みと快楽。


誰も分かってくれないが、私は結構楽しい。


とんとんとん


足音がする。まずい...


急いで包帯を巻いた。


ガチャ


「亜坂、いつも隠れて何してるの?」


「何もしてないよ、お母さん」


「じゃあ...」




「それは何?」


しまった!母は、血のついたカッターナイフを指差した。


隠し忘れた...


「なっ...なんでもないよ」


母は、制服の袖をまくった。


「やっぱり、ね...」


手首に巻いた包帯から、血が滲む。


「ねぇ、亜坂、何があったの?」


「ねぇってば」


「そんなにお母さん嫌い?」


「何か答えなさい!」


冷たい沈黙が、私たちの間合いを包む。