「おかえりなさい」


「...ただいま」


冷たい母の視線。


自分の部屋に入ろうとした。


しかし、呼び止められた。


「待ちなさい。...どうして、また勝手に出て行ったの」


[どうして][勝手に]


いつ私を縛り付ける言葉。息苦しい檻に、私を閉じ込めてしまう。


きっと、私の事は家畜位にしか思ってないなんて事はない。


でも、苦しい束縛の中で何を見い出せと言うのか。


この檻の外にもきっと明るい世界なんてないのは知ってる。


でも、少し期待していたんだ。


誰か、私を連れ出してくれると。


私はきっと普通じゃない。


「ごめんなさい」


後にしたリビングの、私を養ってくれた忌々しい人影に、忍び寄る殺意を感じてしまったから。