昼間だというのに薄暗い...いや、まるで真夜中のように暗い外。


この世界に太陽の光はもう届かない。


家の中を出た。


黒く汚い街路を通り抜け、広い通りに出た。


古びた街灯がぼんやり照らしている。


べっとりと油のこびり付いた鉄パイプが足元に転がっていた。


随分荒んだものだ。


昔は平和だったのに。


ガス臭い空気を吸い込んだ。


携帯がなる。


「お母さん、何?」


『亜坂』


『早く家に戻りなさい』


『あれだけ外に出るなと言ったのに』


「はい...」


私の母は過保護だ。


自由が欲しい。


自由が欲しい。


...やめよう。


欲しいものも手に入らない消えてしまえたら楽だろう。


代り映えがしない日々に飽き飽きする。


目の奥に映るものはいつもモノクローム。


メラトニンが人工的な光を捕え、残像が浮かび上がった。