カチカチカチ


ズバッ


リストカットの痛みに慣れてしまった。


だから腕を切ろうと思った。


腕を切った。


傷口がケロイドになりかけている。


ステロイド剤の塗りすぎで、皮膚の下の毛細血管が見えるようになった。


窓から喧騒の音が聞こえる。


暗い部屋に男の怒鳴り声。


これが私の物語の序章。


始まりはこんな風だった。


さて、少し君に昔話をしてあげよう。


昔話...といっても、これは君の時代のずっと先。


未来の日本だ。