「さあ、そこ座れ。」

沼田が準備室に私を呼び出した。
生物室の匂いはなんだか
独特であまり長居したくなかった。

「あの、先生なんですか?
わたし、委員会があるんで帰りたいんですが」

もちろん、嘘である。
沼田はめんどくさい。
こうでもしなきゃ帰れない。

「お前にな、折り入って話があるんだ。
お前、成績優秀なのに寝てばかりいるだろ?」

ご存知の通り正論。

「他の教科の先生方は、お前の成績をテスト点で稼がせているが俺の教科はそうはいかないんだ」

「は、はあ。」

どうやら、私の授業態度に
文句があるらしい。

「そーこーでーだ!!」

沼田先生は大切なことを言う時
煽る癖がある。

「お前、経験はあるか?」

「経験?なんですか?」

「お前、処女か?」

この瞬間

「あぁ、大人ってほんとに汚いんだな」

私は転落した。