「まぁよ、〆切りはまだ先だからゆっくり考えてくれよ。早く考えないと詩織にまた怒られるからなぁ。」
信次はトイレに行ってしまった。
キーン コーン カーン コーン
学校も終わり、いつもの僕ならすぐに信次と館長のいる映画館に向かうのだが、今日は引越すための荷物を、五味渕家に運ぶ日だったので、まっすぐ家に帰った。
家に帰ると、昨日のうちにまとめて置いた荷物の段ボールが、山積みされていた。
奥で親父が待ってたとばかり起き上がり、こっちに向かってきた。
「早かったなぁ。遅くなると五味渕のおじさんとおばさんに悪いから、チャッチャとトラックに運んで、持ってっちまおう。」
僕は親父の言われるがままに、トラックへと段ボールを運び、五味渕家に向かった。
