「そんなに卑屈になることもあるまい、めったに出来ない経験だぞ」館長は低い声で言った。



館長の低い声は、何かいつも説得力がある。



「その前にお前、早くそのトースト食べて学校行かないと遅刻するぞ」
館長はグラスを磨きながら怒ったふりをしながら言った。



僕は慌てて、トーストを口をほおばって館長に軽く会釈をし、映画館を後にした。