「まだ熱が下がってないか…。そうだ、お粥貰ってきたから食べるよな?食べたら薬を飲むぞ」
「…うん、分かった」
起きたばかりでまだ、食欲がないんだけどな…。
テーブルの上に置いてある、お粥へと手を伸ばす亮ちゃん。
それを持って私の傍まで来た亮ちゃんがしゃがみ込み、私と視線を合わせてきた。
亮ちゃんの一連の動作をジッと見てから私は、身体をゆっくりと動かし上半身を起き上がらせた。
座る体勢になった私はもう一度、亮ちゃんを見ると何故か私にスプーンを差し出している。
え?
不思議に思いながら目の前にあるスプーンを見ると、スプーンの上には白いお粥がのっていた。
「鈴。ほら、あーん…」
差し出されたスプーンを一気にパクついて、ビックリした私は大きく目を見開いた。
「…っ!…あつっ!!!」
スプーンの中にのっているお粥があまりにも熱くて、驚いた私は悶えてしまったのだっ!
うひゃぁーーーっ…、
と舌を出し涙目になっている私の横で、亮ちゃんはくすくすと笑っている。
いや、笑い事じゃないから…。
「ちょっと亮ちゃん、熱いじゃない!」
「ごめんごめん。次からは気をつけるよ。………それより鈴、相変わらず猫舌なんだな?」
「…んーっ」
何て言いながら、すくったお粥に今度はフーフーしている亮ちゃん。
それを見ていて、ふと気付いてしまった。
亮ちゃんに食べさせてもらうなんて、恥ずかしいじゃん!
「ごめん亮ちゃん!一人で食べられるから、もういいよ」
「こんな時くらい、甘えておけよ」
「いいの!大丈夫だから!!」
強く言えば呆気ない程すぐ、諦めてくれた亮ちゃん。
盆に乗ったお粥ごと、私の膝の上に乗せてくれた。
今度は自分でお粥をスプーンですくって、フーフー息を吹きかける。
「りょ、亮ちゃん恥ずかしいから見ないでよ?」
「気にするな」
視線を感じ亮ちゃんを見ると、ジッと見られていた。
恥ずかしい…。
気にするなと言われても、そんなにジッと見られたら気にするに決まってるじゃん。
私の横にある香織が寝ていたベッドに腰掛けた亮ちゃんは、今だ私から視線を逸らす事なく見ている。
何なのよ?もぅ…。
ま、いいか…と諦めた私は、お粥に集中する事にした。
うん、ちょっと熱いけれど美味しいね!
お粥を半分ほど食べお腹がいっぱいになった私は盆ごと亮ちゃんに渡すと、それをテーブルの上に置いてくれた。
そしてそのままテーブルの上にあった薬とお水の入ったコップを手に取り、私に向かって歩いてくる。
亮ちゃんから薬を受け取り口に含んだ私はお水を一気に、全て飲み干した。
激マズだ!!!
ふぅっ、と息をついからコップを亮ちゃんに渡し、身体を横たえた。
ありがとう…と亮ちゃんにお礼を言うと、気にするなと笑いながら私の頭を撫でてくれる。
優しく笑う亮ちゃんを見ながら思った。
私、亮ちゃんを好きになればよかったな…。
頭を撫でる亮ちゃんの手が温かい。
気持ちよさに、ぼーっと亮ちゃんを見ていた。



