翔ちゃんの指先が私の目元をなぞりながら、申し訳なさそうにそう謝ってきた。
指先を見ると、水滴がついている。
私、泣いてるの?
自分でも指先を目元に持っていって拭ってみたけれど、それ程涙はついていない。
「なんで…、保健室でキスしたのよ?」
私のその一言で、一瞬にして顔を真っ赤になってしまった翔ちゃん。
目を泳がせながら慌てている翔ちゃんのその顔を見て、可愛いな…なんて思ってしまった。
狼狽えている翔ちゃんを見ていたら、まぁいっか…なんて思えるくらいに落ち着いてきた。
されてしまったものはもう、しょうがない。
とにかく今は、どうしてあの時、私にキスをしてきたのかを教えて欲しい。
しかし翔ちゃんは今だ、視線を彷徨わせていてどうにも口を開く気配がしない。
それだけは許さないんだからね!
そんな意味を込めて睨めば一瞬たじろいだ様子を見せた翔ちゃんは、すぐに諦めたかのように一つ息をはいた。
「…鈴が、…………………可愛かったからつい…」
小さい声で聞きづらかったけど、…可愛かったって聞えた気がしたんだけど?
えぇっ?!
可愛いっ!!!
それって私の寝顔がって事?
思っても見なかったその言葉に、頭から火が出そうになるほど熱くなる。
多分今、湯気が頭から出ているのではないだろうか?
恥ずかしい…、
とは思っていても正直、翔ちゃんにそんな風に思ってくれていたと知って嬉しくないわけがない。
顔はついついニヤケてしまうのだ。
そんな私の額を、軽く小突く翔ちゃんの顔もゆるんでいた。
「じゃぁ、もう一回………しよっか?」
そう言って翔ちゃんは、私の頬に手を添え顔を近づけてくる。
今度は恥ずかしながら、私もそっと目を瞑り翔ちゃんのキスを待った。



