「おれ、好きなやつができた」
「へぇ」
おれは適当に相槌をうつと、もうほとんどただの色水と化したコーラをひとくち飲んだ。
ふと時計に目をやると、短針が12をとおりこして1を指していた。
13時じゃないほうの1時だった。どうりで店内に客がすくないわけだ。
おれたちと、おれたちの正面にもうひとり、テスト勉強らしい大学生風の男がいるだけだった。
店員も店の奥にひっこんで顔を出さない。
「おまえも知ってるよ。ほら、麻井さん」
「ああ。あの髪の長いコね。わかるわかる」
「短いコだよ」
「ああ。あの髪の短いコね。わかるわかる」
「おい」
「わかってるよ。なんて名前だっけな」
「……」
2週間ほどまえ、いま目のまえにいる男、つまり森野フミオとライヴに出かけた。
「へぇ」
おれは適当に相槌をうつと、もうほとんどただの色水と化したコーラをひとくち飲んだ。
ふと時計に目をやると、短針が12をとおりこして1を指していた。
13時じゃないほうの1時だった。どうりで店内に客がすくないわけだ。
おれたちと、おれたちの正面にもうひとり、テスト勉強らしい大学生風の男がいるだけだった。
店員も店の奥にひっこんで顔を出さない。
「おまえも知ってるよ。ほら、麻井さん」
「ああ。あの髪の長いコね。わかるわかる」
「短いコだよ」
「ああ。あの髪の短いコね。わかるわかる」
「おい」
「わかってるよ。なんて名前だっけな」
「……」
2週間ほどまえ、いま目のまえにいる男、つまり森野フミオとライヴに出かけた。