彼女の気持ちを知り、自分へ好意が向けられていることにホッとする。ここまで強引に進めてきたが、自信は全くなかった。
「俺はあのバーで最初に君を見たときから君に惹かれてた。運命とはこの時のための言葉なのだとも思った。もし君がこの仕事をやめてほしいと言えば時間はかかるがやめる覚悟だってある。全てを捨てても君と一緒にいたいんだ。君が好きだ。」
伝わってくれと願いを込めながら彼女へ気持ちを伝える。
「…私もあなたが好きです。どうしようもなく好きです。」
小さいけれど凛とした声で伝えてくれる彼女。無意識に俺の服をギュッと掴んでくるから俺もさらにきつく彼女を抱きしめる。
「絶対君のことを守るから。だから隣にいてください。できれば一生俺を見ていてください。」
「私もあなたに見ていてほしい、そしてあなたの全てを見せてほしいです。幸せを、一緒に掴みたいです。」
クスッと笑うと彼女は言った。
この日のことは絶対に忘れない。記念日には二人でこの日のこと、そして出会った日からこの日までのお互いのことを話すのがお決まりになっていった。そして、二人の間に恵まれた子供たちにも話すようになるのはそう遠くない将来である。
【完】

