「ええ、そうです。」

彼女はどこか哀愁を漂わせていた。

「なにか、ありました?」

目を見開き驚いた表情をする彼女。

「すみません、なんだか辛そうだったからつい。」

「いえ、いいんです。なんだか仕事も恋愛もうまくいかないなって。なんで自分はこんなに不器用なんだろうって。」

「それはよくわかります。俺は全部忘れたいって思うと必ずここに来るんですよ。それで明日からまたがんばろうって思って帰るんです。」

「そうなんですね。大人ってもっと楽しいものだと子供の頃は思ってましたけど、そんなことないなって最近思うようになってしまいました。つまらない人間ですね私って。」

そう言ってため息をつく彼女。そんな彼女も美しいと感じてしまう俺は末期なのかもしれない。

「もしよろしければ、お話しませんか?気がまぎれるかもしれないですし。」

少し考える彼女だったが、「それもそうですね。」と快諾してくれた。


それからいろいろ話していくうちに名前は美里といいお互い同い年で有楽町でOLをしていることがわかった。