寒いです。暗いです。そして・・・・怖いです!
「何なんだろう、この森は?」
1本道を歩いているのに、必ず元の場所に戻ってきちゃう。
外へ出ようとすると、見えない風に跳ね返されて・・・。
外は光にあふれているのに、森の中はほとんど真っ暗。
だいぶ慣れてきたから、ぼんやりと木が見えるけど。
この暗さに慣れちゃうぐらい森にいるのがおかしいし、悲しいよ・・・・。
外にも出られない、どこへも進めない。
「もう・・・・どうしたらいいの?」

リン、リンリン


これは、鈴の音!さっきと同じだよ。
・・・行かなくちゃ。
咲ちゃんが貸してくれた、大切なお守りだから。
急ごうと早足になったら、何かに足が引っ掛かって転んじゃった。
「いたっ・・・・!」
振り返ってみると・・。
何だろう。すっごく細い・・・糸?
銀色に光ってる。
もっとよく見ようとしたら足が痛くて立ち上がれない。
恐る恐る足を見てみると、膝を深くえぐってた。
血がだらだらって落ちてる・・・。

「血の匂い・・・・・・うまそうだ・・・」


最初は空耳かと思った。
でも、声を発したそれは、私の目の前の木からぷらりとぶら下がっていた。
「バカな娘だ。簡単におびき寄せられおって。せっかくの獲物、
 ゆっくり食うてやる」

人の胴体ぐらいの8本足。

刃物みたいな口。

満月のような体。

口にした恐ろしい内容。

私の目の前にいるのは、人の5倍ぐらいの大きさの・・・。
巨大グモだった。
「たすけ・・て」
キュウッとのどが絞まる。
体も凍りついたようになって・・・。
巨大グモの死神のカマみたいな口が近づいてくる。
鋭い牙がのどにぴったり当たった。
殺される!
(誰か、助けて!)


その時、私は凛とした声を聴いた。


「そいつから離れろ!でかグモ野郎」