暑い!暑い!ひたすらあ・つ・い~~~!!私はとうとう座り込んじゃった。
「もう、小春!班のみんなが行っちゃうじゃない」
「咲ちゃん・・・だって・・・暑いんだもん」
幼なじみの紫苑咲(しおん さき)に叱られた。あ~あ、ほんと最悪・・・。
私は木下小春(きのした こはる)。現役高校2年生!
咲ちゃんとは生まれた時から隣の家同士で仲が良かったんだ。
咲ちゃんはちょっと不思議な子。目が、うすーい紫色してるの。
よく目を凝らさないと分らないんだけどね。
暗いところでは目立つから、魔法使いみたいだねってよく一緒に話したなぁ。
で!今私たちがどこにいるかというと、京都!班別研修なう!
でも、真夏日がじりじり照り付けて、もうヘロヘロ。
咲ちゃんはギリギリ合わせてくれてるけど、ほんとはもっと先に進めるはず。
私が足を引っ張っちゃってる・・・・。
「咲ちゃん、先に行って?」
「え!大丈夫なの!?」
咲ちゃん、きれいな目を丸くしてる。
そりゃそうだよね。こんなにへばってるのに1人で行くとか言っちゃってるし。
「うん。集合場所は分かってるから。万が一の時はケータイあるし」
「そお?でもな・・・うう~ん、そうだ!」
咲ちゃんはリュックからお守りのストラップを外して、あたしのカバンにつけてくれた。
「ちゃんとたどり着けるように、お守り」
「・・・ありがとう!」
にっこり笑うと、咲ちゃんは走って行ってしまった。
あんなにまだ体力あったんだ・・・やっぱりこうしてよかった気がする。

        **********************

「あ、あれ?こっちかな。それとも・・・あれ!?」
ワタクシ小春、ただいま大ピンチ!
道に迷いました!見たことのある道ばっかりで、わけわかんない!!
と、とりあえずお茶飲もうかな・・・カバンから水筒を取り出す。
こくこくこく・・・はああああああ。
おいしい。麦茶は冷たいと余計おいしいよね。
・・さて、もっかい頑張ろう。
ていうか道は人に聞けば良いんじゃん。・・・ん?そういえばあれから全然人に会わないな。

シュー

「え?」
今、なんか変な音が・・・。き、気持ち悪いな、早く行こう!
水筒をしまって・・・あ!お守りがない!
咲ちゃんが貸してくれたのに!どうしよう・・・。
どこで落としたのか全然分かんないよ。
 
 リン,リリリン

!!今の音、お守りについてる鈴にそっくり・・。
森のほうから聞こえてきた・・よね。
こんな森、さっきまでなかったように見えたけど、気のせいかな?
真っ暗で怖いけど、行かなくちゃ。

       
        *****************

「ねえ、あの子森に入ってっちゃったわよ」

「あそこは、とっても危ないって、にいにい言ってたよね?」

「・・・あれ、聞いてねえのかなアイツ。2人共、もっと言ってやってよ。あんなかわいい子
 死なせたくねーんだけど」

「あああああああ、うるせえなあ、お前ら。分かってるよ、助けに行ってやるって。」
 
「やっとかよ。急がねえと、かわいい子があああ。」

「分かった分かった。・・・・・・!!あいつは・・・!」

「あら?どうしたの、あの子が気になるのね。それじゃあ、早いとこ・・・」

  「「「「いこう!!!!」」」」