私は夏樹を見つめる。


私の視線に気づいているのか気づいていないのか、夏樹は窓の外を眺めている。


夏樹、何考えてるの。


本当は何を見てるの。


こっちを向いて。


今、夏樹の目を見ることができたら、全部わかる気がするのに。


私たちはずっと、私たちの世界で生きてきたよね?


何で?


心地いいって思ってたのに。


このままでいいって思ってたはずでしょう?


なのに何で。


私には、夏樹がどんどん離れていってる気がするよ。


パッと私は夏樹から目を離して、自分のクッキーに手を伸ばした。


このクッキー。


本当に、夏樹は食べたかった?


私も夏樹が眺めている外を見つめながら、自分の作ったクッキーを少しかじった。