栄治は少しだけ戸惑ったように視線をそらして、私と同じように笑った。


「はよ」


私は背伸びをして、栄治のセットしてある髪をグシャグシャと撫でた。


運動会の日以来、何故だか栄治とはすれ違ってばっかりだった。


もちろん、夏樹のお見舞いには来てなかったし。


私が夏樹と学校に行くことも、夏樹の家に行くこともなかったから、会わなかっただけなんだと思う。


栄治も暇じゃないもんね。


私は笑いながら言った。


「最近、忙しかった?」


栄治は一瞬、寂しそうな顔をした。


あれ?


その異変に気付いた私が声をかける前に、後ろから強い声がした。


「おはようさん。朝から早いなぁ」


そしてガシッと私の頭に手のひらを置いた。


…アッキーだ。