夏樹が私に変化を求めるなら、私は変わるよ。


私の目の前にうつる夏樹は、とても寂しそうで悲しそうで。


でも、嬉しそうに見えた。


そして夏樹は窓から体を乗り出し、細い腕を私に向かって伸ばした。


その手で私の頭を掴むと、ギュッと抱きしめてくれた。


「心、走るの遅いな」


嬉しそうに楽しそうに、寂しそうな声でそう言った夏樹を。


私は抱きしめ返せなかった。


返したくなかった。


私も辛くて悲しくて寂しくて、嬉しいよ。


夏樹。