アサガオを君へ

アッキーは私をじっと見つめて舌打ちした。


そして、ずり下がったリュックを肩にかけ直すと、スッと私の横を通って言った。


「俺にはそう思えんかったわ。どっちも手放したくないって言うんなら、悪いけど夏樹に群がっとる女と変わらせんわ」


その場に取り残された私は、どうしようもなくて、ただうつむいて立ち尽くした。


悔しい。


何で私がアッキーにそんなこと言われなくちゃいけないの。


高校で仲良くなっただけの男友達に、私たちの何がわかるっていうの。


ギュッと握りしめた手のひらに、どんどん爪が食い込んでいく。


本当に。


ただ悔しかった。


私と夏樹の間に、他人の勝手な思い込みや感情がどんどん流れ込んできて、ガチガチに固まっていくのが気持ちが悪い。


大きな箱があったら夏樹と一緒に入りたい。


何本も何本も釘を打って、出れないようにしてほしい。


そうしたらきっと、他人からの干渉なんて入る隙さえ与えられない。


そして願わくば埋めてほしい。


限られた酸素は、きっと私たちが生きているだけで、どんどん消費されていく。


それでも私は、夏樹のために酸素を残したいとは考えない。


酸素がなくなるそのときまで、私は生きている夏樹を見ていたいし、言葉を交わしていたい。


2人で限られた酸素を分け合い、最後に2人で目をつむれる。


それがどんなに幸せなことか、アッキーに分かる?